不妊治療のステップ

Step1 タイミング法

排卵日を特定し、夫婦生活をもっていただく方法です。必要によって、排卵誘発剤を使用することがあります。

 

Step2 人工授精法

排卵日に、特殊な注射器で精子を子宮の中に戻す方法です。採取していただいた精液を洗浄・濃縮して運動良好な精子を注入します。

 

Step3 体外受精・胚移植(IVF-ET)

卵と精子を体外に取り出して、培養液の中で受精した受精卵(胚)を子宮の中に戻す方法。

 

Step4 顕微授精(ICSI)・胚移植

体外受精で受精しない(培養液の中で精子と卵を一緒にしても受精しない)か、精子の数や運動が極端に悪い場合、 顕微鏡下で1個の精子を直接卵に注入し、受精を助ける方法。


不妊治療は大きく二つに分けられ、

  • Step1 のタイミング法、Step2 の人工授精(IUI)は一般不妊治療
  • Step3 の体外受精・胚移植(IVF-ET)、Step4 の顕微授精(ICSI)や受精卵(胚)の凍結保存・融解胚移植などは高度生殖医療(ART)と呼ばれています。

Step1 タイミング法

まず、一通りの不妊検査を行ない原因を究明していく(2〜3周期かけて検査します)とともに、卵巣に卵胞がうまく育っていくかどうかを超音波で検査(卵胞モニタリング)していきます。

卵胞はおよそ20mmに発育すると排卵します。超音波検査での卵胞モニタリングと、採血でのホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、LH)検査で正確に排卵日を予測し、タイミング(夫婦生活)をもっていただきます。

卵が受精可能な時間は、排卵後およそ24時間以内といわれております。基礎体温での排卵日は、低温最後の日の前後2日ほどの間といわれており、受精可能な時期にうまくタイミングがあってない場合も少なくありません。正確に排卵日を予測しタイミングを合わせることが重要です。

排卵障害のある方には排卵誘発剤(内服や注射)を使って卵胞を発育させ、タイミング法を行うこともあります。また自然に排卵があるのに、排卵誘発剤を使う場合もあります。自然周期では通常ひとつしか卵胞が育ちませんが、排卵誘発剤を使って卵胞の数を多くして妊娠率を高めたり、自然周期の排卵では卵胞の大きさとホルモンの値とのバランスが悪い場合などです。

卵胞の発育とともに通常なら厚くなる子宮内膜が薄かったり、頸管粘液が少ないといった問題がある場合は、ホルモン補充や漢方薬など、それぞれの方にあったお薬で妊娠しやすい状態にします。

また高温期が短かかったり(9日以下)、高温期のホルモン(プロゲステロン) が低い場合は黄体機能不全といわれ、受精卵が着床しにくかったり、妊娠を維持することができにくいため、内服薬や注射で黄体補充や黄体支持療法を行います。

Step2 人工授精法(IUI)

精液検査で精子の数が少なかったり、精子の動きがよくない場合や、正常精液所見でタイミング法でも妊娠が成立しない場合は排卵日に合わせて人工授精を試みます。人工授精で妊娠された方の多くは4回目までで妊娠されております。

できるだけ自然な妊娠を目指しておりますが、検査結果によっては、治療のステップアップの必要があります。

女性の年齢が高い(35歳以上)場合、不妊期間が長い場合、またご夫婦のご希望により早めにステップアップをしていくこともあります。

子宮内膜症や子宮筋腫、子宮内膜ポリープなど妊娠が妨げられる病変があれば、腹腔鏡や子宮鏡によりこれを取り除くことも考え、その場合は術後に6ヶ月程度、タイミング法や人工授精法を継続することもあります。

Step3 体外受精・胚移植(IVF-ET)

Step4 顕微授精(ICSI)

一般不妊治療でうまくいかない場合は、ご夫婦とご相談させていただいた上で、 高度生殖医療(ART)へとステップアップします。

検査で両方の卵管がつまっている、抗精子抗体が陽性、精子の数や運動が極端に悪い場合などは、初めから体外受精・胚移植(IVF-ET)、顕微授精(ICSI)が必要になる場合があります。