不妊の原因とは
女性の原因と男性の原因について
女性の原因
排卵障害
排卵がうまく起こらない
卵胞が発育しないか、発育しても卵巣から飛び出せない(排卵できない)状態です。
無月経や稀発月経(生理がたまにしかこない)などの月経異常がある場合、基礎体温が2相性にならない(低温と高温に分かれない)とき、卵胞が発育していないことが考えられます。
視床下部や下垂体の異常でFSH、LHの分泌が不十分な場合、卵胞がうまく発育してきません。
短期間でのダイエットやストレスが原因になることもあります。
多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群(PCOS)
卵巣表面が固く、卵巣に多数の小さな卵胞が存在しますが、卵胞が発育しません。
ホルモン異常を伴い、無月経や月経不順となります。
最近インスリン抵抗性耐糖能異常との関連が言われております。
高プロラクチン血症
プロラクチンは脳の下垂体から分泌され、産後に母乳を出させるホルモンです。
産後授乳期間にはこのホルモンが高いため、排卵が抑制され月経がありません。
妊娠、出産と関係ない時期にこのホルモンが高いと高プロラクチン血症といわれ、排卵が抑制され、月経異常を起こします。乳汁分泌が認められることもあります。
黄体化未破裂卵胞(おうたいかみはれつらんぽう)
一般には基礎体温が、高温相となれば排卵があったと考えられておりますが、この黄体化未破裂卵胞とは、基礎体温やホルモン値からは排卵があった(高温相になった)ように見えても実際は、卵巣に卵ができるものの、卵巣から飛び出せない(排卵できない、未破裂)状態をいいます。
超音波検査で判断します。子宮内膜症やクラミジア感染などによる卵巣周囲の癒着や、排卵を促すLHの分泌不足などが原因と考えられます。
卵管通過障害
卵管がつまったり細くなっている卵管は精子と卵が出会い受精する場所であり、受精卵が子宮に送り込まれる通り道でもあります。
卵管がつまったり、細くなっていると、精子と卵が出会えません。原因として子宮筋腫が卵管を圧迫していたり、子宮内膜症やクラミジア感染などによる癒着や炎症が考えられます。
着床障害
子宮の状態がよくない受精卵が子宮にくっつく(着床)のに、子宮の状態が良くないと着床が妨げられます。
子宮筋腫や子宮腺筋症(子宮内膜症が子宮の筋層内にできる)により、子宮の中を変形させる病変があったり、子宮の中にポリープが出来る場合が考えられます。
また、子宮への血流やホルモンが不足していたり、子宮の中の炎症などにより、着床時期の子宮内膜が薄いと着床しにくくなります。
子宮頸管粘液異常
精子が子宮頸管を通過できない排卵の時期になると、子宮の入り口である子宮頸管はエストロゲンの作用により頸管粘液の量を増やし、性状もサラサラとなり精子が通りやすくなります。
この粘液が十分に出ないと、精子が子宮内にたどり着けません。
また頸管粘液の中に抗精子抗体が存在すると、精子を攻撃し、精子が頸管を通過するのを妨げたり、さらに受精や着床も妨害するといわれています。
原因不明(機能性不妊)
どの検査でも原因がつかめない
男性の原因
精子の異常
精子をつくることができにくい造精機能障害といわれ、精巣で精子をつくることができにくく、男性不妊の原因の70-90%を占めるといわれております。
精索静脈瘤
陰嚢に怒脹した血管が、ツタがからまる様にとりまいた状態で、精巣の温度を上昇させ造精機能が低下します。
精子の通過障害
精子の通り道の障害
精子はうまく造られても、精子の通り道がつまったり、細くなっていて、精子が運ばれない状態です。
先天的なものや炎症などが原因と考えられます。
また、子供の頃のソケイヘルニアの手術が原因となる場合があります。
性交・射精の障害
勃起できなかったり(インポテンス)、勃起はできても膣内で射精ができない場合があります。
また、射精のときに、精液が膣内に出ず、膀胱に逆流してしまう逆行性射精という病気もあります。
射精した感覚があるのに、精液の量が少ないか、全くない場合はこの病気が疑われます。