クラミジア感染症とは、クラミジア・トラコマティスという細菌が子宮口(子宮の入り口)より侵入し、感染することで起こります。

子宮口より侵入し子宮頸管炎となれば、おりものが少し増えるとか、不正出血といった症状がでることもありますが、ほとんどの場合は自覚症状がありません。そのため、気づかないうちに子宮頸管よりさらに侵入し、子宮、卵管を経由して、お腹の中で感染(子宮附属器炎、骨盤腹膜炎)を起こします。卵管や卵管采(卵管の先端)が炎症によりつまったり、卵管が通っていても、卵管や卵巣周囲にフィルム膜様の癒着をつくり、卵管性不妊(卵管通過障害)の原因となります。子宮附属器炎や骨盤腹膜炎では、症状として月経痛以外の下腹部痛があったりします。また右側の上腹部痛を訴えられる場合があり、クラミジアによる肝臓周囲炎(フィッツ-ヒュウ-カーティス症候群)であることがあります。

感染に気づかずに妊娠した場合、流産につながったり、出産時の産道感染により、赤ちゃんの目や肺に感染して、結膜炎や肺炎を起こすことがあります。

 

クラミジア感染の検査法

採血によって血液中のクラミジア抗体を調べる抗体検査と、
子宮頸管内の擦過でクラミジアの抗原を調べる抗原検査とがあります。

クラミジア抗体は過去にクラミジアに感染したことがあるかどうかがわかり、陽性であれば、お腹の中の癒着や、卵管の通過障害の存在が疑われます。 抗原検査は、現在、子宮頸管に感染しているかどうかがわかります。

 

クラミジア感染の治療

抗原検査で陽性であれば、抗菌薬の投与で治癒します。
ただし、性感染症のひとつといわれておりますので、パートナーである男性も一緒に治療します。

 

クラミジア感染による不妊の治療について

不妊症の初診時検査として、採血による血液中のクラミジア抗体を調べます。

クラミジア抗体が陽性であれば、過去のクラミジア感染を反映し、卵管や卵管采(卵管の先端)が炎症によりつまっていたり、卵管が通っていても、卵管や卵巣周囲にフィルム膜様の癒着をつくり、卵管性不妊(卵管通過障害)の存在を疑います。 
ただし、クラミジア抗体が陽性だといっても、すべての方が、卵管性不妊というわけではなく、自然妊娠される方も少なくありません。

クラミジア抗体が陽性であれば、早めに子宮卵管造影(HSG)を行い、卵管の通過性やお腹の中の癒着を確認します。

子宮卵管造影(HSG)で卵管の通過性が良好なら、一般不妊治療から開始します。卵管の通過性が悪かったりお腹の中の癒着が疑われた場合は腹腔鏡検査が有用です。

腹腔鏡検査により、卵管周辺の状態が直接観察され、軽度の癒着があれば、腹腔鏡下に癒着剥離を行うことで、自然妊娠が期待されます。

癒着が高度で、卵管の通過性の回復が見込めないと判断した場合は、早期に体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)へとステップアップします。

患者さんの年齢や不妊期間、今までの治療の経過によっては、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)を優先する方が有利な場合もあります。おひとりおひとりにどんな治療法が効果的なのかを十分に検討させていただき、ご夫婦とご相談のうえ、ベストな治療法を選択させていただきます。