妊娠のしくみ
不妊症の原因や治療を理解するために、まず自然妊娠のしくみから
妊娠が成立するためには、
- 卵巣に卵ができる
- 卵巣から卵が出る(排卵)
- 卵が卵管にとらえられる
- 卵管で卵と精子が出会う(受精)
- 受精卵が卵管を通り子宮に入る
- 子宮にくっつく(着床)
という、いくつかの段階を踏まなければなりません。
自然妊娠のしくみ
さらに詳しく説明しますと、
1. 卵巣に卵ができる
卵は卵胞という殻に包まれて卵巣の中にたくさん存在します。月経の頃より脳のなかにある下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン:卵胞を育てるホルモン)が分泌され、その周期において数個の卵胞が発育の準備を開始しますが、その中から1個の卵胞(主席卵胞)が選ばれ、大きくなって(発育)いきます。
2. 卵巣から卵が出る(排卵)
卵胞が大きくなり、20mmとなると成熟卵胞といわれ排卵直前となります。卵胞からはエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されますが排卵直前にエストロゲンがピークになると、下垂体からLH(黄体化ホルモン:排卵を促すホルモン)が急激に多量に分泌され、この刺激により卵胞から卵が飛び出し排卵がおこります。
排卵がおこると、卵巣に残された卵胞は黄体と呼ばれる組織となり、エストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン:基礎体温を上昇させ、高温期をつくるホルモン)を分泌するようになります。
3. 卵が卵管にとらえられる
卵巣から飛び出た卵は、卵管采(卵管の先端)でとらえられ、卵管内に入り、精子の到着を待ちます。
4. 卵管で卵と精子が出会う(受精)
一方、精子は一回の射精で、4000万個以上の精子が膣内に射精されますが、元気な精子のみ子宮頸管という関所を通り、子宮内に入り込めます。さらにようやく子宮内にのぼりつめた精子も半分は卵のいない側の卵管に行ってしまい、最終的に卵のいる卵管に到達するのは数十から数百個といわれています。
膣内に射精された精子が卵のいる卵管に到達するのに数十分から数時間と言われております。頑張って卵までたどり着いた精子は一斉に卵を取り囲みますが、そのなかの1個のみ卵のなかに入り込むことができ、受精が起こります。
5. 受精卵が卵管を通り子宮に入る
受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、卵管のなかを子宮に向けて運ばれていきます。
6. 子宮にくっつく(着床)
受精卵は4〜5日かけて卵管内を移動し、子宮に運ばれます。子宮に到達した受精卵(胚)は、子宮内に用意されたふかふかの子宮内膜のベッドに潜り込み着床します。 着床し母体に根をおろした胚がスクスクと成長し妊娠が成立します。
この自然妊娠が成立するしくみの、どこかがうまくいかない場合に不妊症となります。
次に不妊症の原因について、女性の原因と男性の原因に分けてご説明します。