八重垣レディースクリニック

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子宮内膜症とは
子宮内膜症の症状、子宮内膜症と不妊・検査・治療について

本来は子宮の内側だけに存在するはずの子宮内膜が、子宮以外の場所(骨盤内や卵巣など)に存在し、増殖する病気です。

子宮の内側にある、子宮内膜(正所性子宮内膜)は、エストロゲンの影響をうけて発育し受精卵の着床に備えますが、妊娠が成立しないと剥離し、膣から出血となって排出されます。これが月経です。

子宮内膜症(異所性子宮内膜)もエストロゲンの影響を受けて増殖しますが、剥離し出血しても、排出する出口がないため、月経のたびにその場にたまり、炎症や周囲の癒着を引き起こします。

子宮内膜症は、近年の女性のライフスタイルの変化などから、増加しているといわれており、20代から40代の生殖年齢女性の10人に1人は子宮内膜症がみられるといわれています。

子宮の筋肉の層に内膜症ができ、子宮が腫れているものを「子宮腺筋症」、卵巣の中にでき、古い血液(チョコレート様)がたまって卵巣が腫れているものを卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)といいます。

卵巣チョコレート嚢胞は、0.7%にがん化するといわれておりますが、年齢が高くなるほど、また嚢胞が大きくなるほどそのリスクは高くなります。40歳以上の方、嚢胞の大きさが4cm以上の方は注意が必要といわれています。卵巣チョコレート嚢胞がみつかったら、定期的に観察することが必要です。

チョコレート嚢胞

子宮内膜症の症状は

子宮内膜症の症状としては、月経痛が90%の頻度で認められます。月経時以外の下腹部痛、腰痛などの慢性的な骨盤痛も認められることもあります。

また子宮内膜症に特徴的な痛みとして、性交時の痛み(膣の奥の方にひびく痛み)や、排便時の痛み(肛門の奥の痛み)があります。


子宮内膜症と不妊

子宮内膜症の方のおよそ50%は不妊を訴えられ、不妊女性の20-40%に子宮内膜症がみられるといわれています。

また5年以上の長期不妊の方に腹腔鏡をしますと80%の方に何らかのお腹のなかの異常を認め、50%の方に子宮内膜症(その内の80%は腹腔鏡検査ではじめて診断される軽症子宮内膜症)を認めます。

重症の子宮内膜症では、卵巣チョコレート嚢胞や、卵管、子宮、腸などが癒着し、排卵障害や、卵管通過障害を引き起こし、妊娠しにくくなると考えられ、また癒着のない軽症の子宮内膜症では、子宮内膜症の病巣や腹水にある炎症性物質が、受精や着床を妨げ、妊娠しにくくなると考えられています。


子宮内膜症の検査法と診断

問診

問診により、月経痛、性交痛、排便痛などの有無や程度また不妊の訴えなどを詳しく伺います。

内診

内診により、子宮や卵巣の位置や大きさ、動きがいいかどうか(癒着がないかどうか)また圧痛があるかどうかを判断します。 性交経験がない方には、原則内診は行いません。

超音波検査

超音波検査により、子宮や卵巣を画面に映し出します。子宮腺筋症では、腫れた子宮を認め、卵巣チョコレート嚢胞があれば、その位置や大きさがわかります。

おなかの上から超音波の探触子をあてる方法(経腹超音波法)と探触子を膣から挿入する方法(経膣超音波法)がありますが、経膣超音波法がより詳しい所見が得られます。

MRI検査

MRI検査は、卵巣チョコレート嚢胞を正確に画像診断することができます。

血液検査(CA-125測定)

採血による検査です。卵巣の腫瘍マーカーであるCA-125が、子宮内膜症で高くなることがあります。薬や手術での治療後の経過観察(効果判定)にも測定します。

腹腔鏡

子宮内膜症の確定診断は、腹腔鏡や開腹手術でしかわかりませんが、問診、内診、画像診断、血液検査よりほぼ診断され、臨床子宮内膜症として治療を開始します。


子宮内膜症の治療

子宮内膜症の治療には、薬物療法と手術療法があり、また両者を組み合わせて治療する場合もあります。

薬物療法

薬物療法は対症療法とホルモン療法(内分泌療法)があります。

対症療法

対症療法は、子宮内膜症の症状である痛み対して、痛みの原因となっているプロスタグランディンの合成を抑える鎮痛剤を投与します。痛みがひどくなる前からの投与開始がより効果があるといわれます。ホルモン療法と異なり、月経周期をコントロールすることなく、排卵は抑制されません。20歳代の未婚女性ではまず対症療法を選択しますが、十分な効果が得られず、日常生活に支障をきたすようでしたら、ホルモン療法を考えます。

ホルモン療法

ホルモン療法は、子宮内膜症がエストロゲン(卵胞ホルモン)によって増殖する疾患であることから、このエストロゲンの分泌を抑制し、子宮内膜症の病巣を萎縮させます。

低用量ピル

低用量ピルは、排卵を抑制することで、自然のエストロゲンやプロゲステロンの分泌を抑制し、子宮内膜症の増殖を抑えます。休薬期間に出血(消退出血)が起こりますが、子宮の内側にある子宮内膜(正所性子宮内膜)も薄くなっているため、出血量も少なく痛みも軽くなります。

GnRHアナログ療法

GnRHアナログ療法は人工的に閉経の状態にして子宮内膜症の増殖を抑えます。副作用に更年期様症状(のぼせ、ほてり、性欲減退、不眠など)、骨量減少などがあります。点鼻薬(1日2-3回)か注射(4週間に1回)での治療です。原則、投与期間は6ヶ月とされております。

ジェノゲストDienogest

ジェノゲストDienogestは、黄体ホルモンの誘導体で、排卵を抑制することでエストロゲンの分泌を抑制し、子宮内膜症の増殖を抑えます。また子宮内膜症病変に直接働きかける作用があります。副作用として不正性器出血(点状出血)などがあります。ピルやダナゾールで問題となる、血栓症や男性ホルモン作用もほとんどなく、GnRHアナログで問題となる更年期様症状や骨量減少もほとんどありません。現在、子宮内膜症の薬物療法において注目されているお薬です。

 

手術療法

子宮内膜症に対する手術療法は、保存手術と根治術に分けられます。

保存手術

保存手術は、未婚の方や妊娠を希望する方に対して行い、子宮や卵巣、卵管を温存します。卵巣チョコレート嚢胞の嚢胞のみを切除し、子宮や卵巣、卵管のまわりにできた癒着をはがします。腹腔鏡下で手術をおこなうことが多く、この手術法だと術後の癒着も少なく、早期に退院できます。 保存手術であるため、小さな病変やかくれた病変が除去しきれず、再発してくる可能性があります。

根治術

根治術は、症状が非常に強く、薬物療法では効果がえられず、妊娠の希望がない方に対して行い、子宮や卵巣、卵管をすべて摘出します。月経がなくなり、再発もありません。 開腹か腹腔鏡下で手術をおこないます。

 

子宮内膜症による不妊の治療について

まず、子宮内膜症のある方がすべて不妊というわけではありませんし、子宮内膜症があっても自然妊娠される方も少なくありません。

軽症子宮内膜症が疑われる場合は

問診により、子宮内膜症の存在が疑われても、内診や超音波検査で特に異常が認められない軽症の子宮内膜症が推定される場合は、不妊検査を行いながら、一般不妊治療を行っていきます。不妊検査で他の不妊原因が合併していれば、これを治療することで、妊娠に結びつく場合もあります。

他の不妊原因が特に見つからず、一般不妊治療を6ヶ月程度行っても妊娠成立しない場合は、ご相談の上腹腔鏡を考慮します。腹腔鏡でお腹の中を観察し、卵管や卵巣のまわりが軽度癒着していれば、腹腔鏡下に剥離し、また内膜症病巣の焼灼や、内膜症による腹水を吸引して、お腹の中を生理食塩水で十分に洗浄します。(子宮内膜症の病巣や腹水にある炎症性物質が、受精や着床を妨げ、妊娠しにくくなると考えられています。)

腹腔鏡での処置により妊娠する能力(妊よう能)が高まり、引き続きの6ヶ月から1年の間に一般不妊治療で妊娠が期待されます。 腹腔鏡後の一般不妊治療でも妊娠が成立しない場合は、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)へとステップアップします。

 

重症子宮内膜症が疑われる場合は

内診で癒着や圧痛があり、超音波検査などで、卵巣チョコレート嚢胞を認め、重症の子宮内膜症が疑われる場合は、不妊検査を行ない、他の不妊原因が合併していないか検索した後、ご相談の上、早期の腹腔鏡を考慮します。

腹腔鏡下に卵巣チョコレート嚢胞を切除し、卵管や卵巣のまわりや骨盤内の癒着を剥離します。内膜症病巣の焼灼や、腹水を吸引して、お腹の中を生理食塩水で十分に洗浄します。

卵管や卵巣の状態がよく、術後の一般不妊治療で妊娠が十分期待されるようでしたら、一般不妊治療を優先しますが、手術時に卵管の機能の回復が期待できないと判断される場合は、早期に体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)へとステップアップします。

 

子宮内膜症による不妊に対する薬物療法について

子宮内膜症による不妊の治療において、薬物療法(ホルモン療法)は、ホルモン治療した方と治療してない方で妊娠率に差はなく、排卵を抑制し妊娠ができない期間が延長するだけで、いまのところ妊娠への効果にそれほど期待ができないと考えられておりますが、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)を行う前に比較的長期に使用することで妊娠率を上げる可能性があることが報告されております。


子宮内膜症よる不妊の治療について、腹腔鏡を含めた治療法を述べましたが、患者さんの年齢や不妊期間、内膜症の進行度や今までの治療歴などより、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)を優先した方が有利な場合も少なくありません。

子宮内膜症による不妊の治療は、ひとつの方法しかないのではなく、内膜症の進行度や患者さんの背景などから多くの選択肢が考えられます。

おひとりおひとりにどんな治療法が効果的なのかを十分に検討させていただき、ご夫婦とご相談のうえ、ベストな治療法を選択させていただきます。

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